相次ぐ児童虐待…動かぬ行政、希薄な人間関係(読売新聞)

 昨年、過去最多を記録した児童虐待事件が今年に入ってからも相次いでいる。

 東京、兵庫、奈良、埼玉……。4人の幼い命が奪われた事件を検証し、関係機関や地域社会は何が求められているのか考える。

 ◆「甘さ」10回◆

 「感度の甘さ」「把握の甘さ」「評価の甘さ」

 東京・江戸川区で1月、両親から暴行を受けていた小学校1年の岡本海渡(かいと)君(7)が死亡した事件。区が今月2日に公表した報告書は、区の子ども家庭支援センターと、海渡君が通っていた区立小学校の対応の問題点について、「甘さ」という表現を10回も使って批判した。

 歯の治療をした歯科医が、海渡君の顔にあざがあるのを見つけ、センターに通報したのは昨年9月。

 この情報はセンターから学校に伝えられ、2日後、校長、副校長、担任が家庭訪問をして両親と面会した。しかし、父親から「二度と殴らない」と言われたため、その後、海渡君が欠席を繰り返してもセンターには知らせていなかった。

 報告書は、学校が父親の発言を聞いて「解決したように思ってしまった」とした上で、センターに継続して情報提供しなかった点に「甘さ」があると指摘。児童の状況把握を学校に任せて父親の発言を信じたセンターについても「虐待者に対する評価」に「甘さ」があると批判した。センターから情報提供を受けた児童相談所も問い合わせをしておらず、両者の情報共有が不徹底と結論づけた。

 同区の場合、センターで虐待を監視する職員は6人で、このうち常勤は1人。報告書を受け、区は増員や研修の強化を検討している。区の幹部は「できることは、すべて手を打つつもりだが、万全だとは言い切れない」と語る。

 ◆保護見送り◆

 埼玉県蕨市で、2008年2月に衰弱死した新藤力人ちゃん(4)の両親が今月4日、逮捕された事件では、児童相談所と市が06年5月から死亡の約1か月前まで13回にわたって、力人ちゃんの「保護」を児童福祉法に基づいて家裁に申し立てるべきか、警察などと会議を開いていた。

 この間、児童相談所と市の担当者は月1、2回の割合で家庭訪問し、4人家族の中で1人だけパジャマ姿で、ひどく不衛生な様子の力人ちゃんを確認していた。その時、担当者の一人は「このままではダメだ。何とか保護しなければ、と痛感した」と打ち明ける。

 だが、保護の申し立ては見送られた。「身体的虐待がなく、保育園に行っていないというだけでは難しい」という判断からだった。

 ◆人間関係◆

 4件の事件の家庭は、いずれもマンションやアパートで暮らし、近隣との人間関係も希薄だった。

 09年11月に死亡した兵庫県三田(さんだ)市の寺本夏美ちゃん(5)の場合、近所の住民が死の約一月前、夏美ちゃんがほおを赤く腫らしているのを目撃していた。

 今月3日に奈良県桜井市の吉田智樹ちゃん(5)が死亡した事件でも、妹(3)と両親が外出するのを、アパートの窓から見送る智樹ちゃんを、向かいのガソリン店員が何度も目にして、同僚と「虐待されているのでは」と話していた。

 しかし、こうした情報は警察や児童相談所などには伝わっていない。

 虐待問題に詳しい日本女子大の林浩康教授(社会福祉学)は「地域社会が、行政ができることには限界があるという意識を持つことが重要。地域住民の意識がもっと高まらないと、虐待の兆候が見過ごされるという悲劇は、減らないのではないか」と訴えている。(社会部 浜名恵子、地方部 作田総輝)

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